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2018,1,10(水)購読クラス

 

2018.1.10(水)購読クラス     陈老师    出席7名

 

 膨胀或者飞翔        刘 万里著 (2015中国微型小説排行榜 p.28~31)

 

『膨張したり飛翔したり』という題名がまずは謎だらけです。始まりの一文→梦城的

作家都有一双隐形的翅膀,他们可以像鸟儿一样在天上飞来飞去。(ゆめタウンの作家

たちは皆見えない翼を持っている、彼らはまるで鳥のように空を飛び回ることが

できる。)この一文でありえないことが述べられております。梦と言う言葉が、

現実感をそぎ落とします。何か象徴しているのかと読み進めますが、次に続くのは

思いっきり現実の世界の描写。ゆめタウンで働いている語り手、「我」は高いビルの

林立する町で交通渋滞に悩まされ、仕事にいつも遅刻して、ボーナスを減額され、

その上ボスにおこごと。ゆめタウンなのに发愁(憂鬱)。そしてつぶやく。

あ〜あ作家たちがうらやましい、僕に見えない翼があればいいのにな〜。僕だって

空を飛び回ることができるのに…。この町では作家先生方は地べたを這いずり回って

働いている人を後目にお空を自由に飛び回っているようです。不思議な世界。

 

見えない翼を持つ作家になるには…そうだ!ゆめタウン作家協会へ入ろう! 

良い作品を書こう!とはならない。そして目的が空を飛ぶこと。

文学愛好者でちょこっと文を発表している「我」は協会で雑用係をしている文学友達

の明月斜を頼ることにします。相談を持ち掛けられた明月斜は協会加入のお世話を

します。ただの雑用係なのに、明月斜はみるみる作家先生への道を「我」にご教示。

その内容がえげつない。仝誉劼この町にないとだめ。「只要你把户口问题解决了,

其他我给你想办法,一切都好说。」(戸籍問題を解決しさえすれば、その他は

わたしがあなたの為に方法を考える、すべては大したことではない。)何はなくとも

戸籍。解決するには戸籍担当の警察の文学友達にお金を…。食事代抜きで6万ね。

と言われた「我」の返事がこちら→「钱不是问题,只要能办成,花再多钱也

没关系。」(お金は問題ではない。解決さえできれば、いくらお金を払ったって関係

ない。)は〜、言ってみたいセリフですね。ボーナスを減らされ、ボスに叱られては

いるけれど、お金はたくさんお持ちのご様子。問題一冊本を出版していること。

はあ〜?一冊も本を出していないのに、作家になろうって魂胆だったとは。ひっくり

返りそう。さすが、ゆめタウン。大丈夫。お金さえあれば、本なんて、出せます。

自費出版で1000冊刷ります。問題ペンネーム。「 得起一个女性化的名字,这样

红起来才快。」(女のような名前をつけなければならないよ。そうすれば、売れるの

が速い。)そう言われて、ここぞとばかりに文学やってます!的な提案。「碟恋花,

木兰花,浣溪沙和,念奴娇怎样?」(先生談、これらは词牌名:中国古詞の

曲名 。)でも、すべてありきたりだな、と明月斜は却下。玉蝴蝶はどう?と

言われたのでそれに決定。多額のお金を明月斜や関係者にばらまき、問題´↓は

解決し、作家協会会員証をゲット!ところが、これだけでは見えない翼は手に入る

わけではなかったのです。

 

明月斜曰く。「梦城各行各业都有潜规则,文学圈也不例外。」(ゆめタウンの

各業種には皆暗黙のルールがあるんだよ。文学界も例外ではないよ。)「接下来

就该拜山头,梦城最有名的评论家是曲游春,他是全国各大文学奖的评委,只要经

他捧得人,不红都不行。」(続いては、協会トップに挨拶しなければならないよ。

ゆめタウンの最も有名な評論家は曲游春先生だ。先生は全国の大きな文学賞の

いずれも審査委員をされていて、先生が推す人は売れないことはけっしてない。)

わかってますよ〜だんな〜。ということで、一席設けて、自作の本(一応)と

袖の下(こちらがメイン)をこの大御所に渡し、自分の作品研讨会を開いてもらえる

運びとなります。その会で、袖の下をばっちり手にしてた大御所・曲游春の締めくり

のお言葉がこちら→「玉蝴蝶的作品融卡夫卡,马尔克斯,卡尔维诺,托尔斯泰,

等等大家的精华,将古典主义和现代主义,将浪漫主义和超现实主义 …融为一体,

形成了一个独特的风格,我敢保证玉蝴蝶的作品将是下一届诺贝尔文学奖最有力的

竞争者…」(玉蝴蝶の作品はカフカ、マルケス、カルヴィノ、トルストイ等の

すべての精髄を融合している、古典主義と現代主義を融合させ、ロマンチシズムと

超リアリズムを融合させ…融けあって一体となり、ひとつの独特な特徴を有して

いる。私は思い切って保証しよう。玉蝴蝶の作品は次のノーベル文学賞の最有力

候補となるだろう…。)《いつものことながら、カタカナにするのが大変。

マルケスはコロンビアの作家。代表作は百年の孤独。マルクス・レーニンの

マルクスは马克思です。1000冊自費出版に対してこの美辞麗句。

ちょっと笑っちゃいます。》

 

このお言葉をいただいた「我」はついに!ふわふわした感覚に襲われ、舞い

上がらないようにしっかりと机につかまります。作品討論会をでると、体が

明らかに軽くなり、まるで何かが頭を引っ張りあげているようで、我的身体

像充了氢气,慢慢地升腾起来。(私の体はまるで水素で充満されたようで、

ゆっくりと上がり始めた。)→膨張しています。

 

ゆっくりと体が浮き上がり、空中を漂い、見えない翼がバタバタと動いている

ような感じになりまた。やっと夢がかないました。毎日空を飛んで通勤し、爽快!

遅刻しなくなって、同僚にはヘリコプターで通ってんだ〜なんて言って

うらやましがられて。ところが、ある日突然墜落。両足をつぶし、あ〜僕は一生

車いすだとワーワー泣きました。なんで僕落ちちゃったんだ?後でわかったのは

その墜落の瞬間、「我」を推してくれていた大御所及びその他の連中が事故で

峡谷に落っこちて命を落としていたのです。最後の結びは「批評家が頼りにする

のは口。私の飛び回っていた原動力とエネルギーはまさに彼らの口。彼らの口が

閉じてしまえば、わたしの飛ぶ力もエネルギーも尽きるわけで、落ちなければ

それこそおかしい。」

 

中国では文学賞はた〜くさんあるそうです。中にはあまり権威のないものもある

ようで、あやしい文筆家もこの話のように自由にふわふわと活動しているの

かもしれません。何処も同じ。賄賂の横行する文学界をマンガのように

ユーモラスに描いていて面白かったです。先生の解説では修飾語がないのが

この作品の特徴。文は長いのですが、根回しの状況、会話等はよくある

水戸黄門の「おぬしも悪よの〜」的なものでどこも同じだな〜と楽しめました。

 

今回も長くなってしまいました。元の文が長いのであしからずです。(言い訳)

 

難しさ★☆☆☆☆  面白さ★★★☆☆

 

今後の予定 2月変更有です!!!

 

1月 17・31   2月 7・14 (2月休みは21・28)

 

ここまで決まっています。

 

 

 

 

author:多摩中, category:講読編, 09:41
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