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2020.7.1Wednesday>>講読編,

202071日(水)講読【】出席7名(聴講3名)

堕落』   贺 清华                                

2015中国微型小 排行榜P.281-283)

左勇の前妻・白灵慧は会社で出納係を務めていて、二人は2年の結婚生活を送った後、離婚し、子どもはなかった。離婚の原因は単純だ:白灵慧が結婚後に麻雀に入れあげ、おまけに麻雀を打てば打つほど賭ける額が増え、左勇の度々の忠告も効き目がなく、彼は離婚を選択した。彼は白灵慧が堕落し、一人のばくち打ちになってしまったのだと感じていた。

=離婚後、左勇殷红と再婚した。その時、殷红は広州での出稼ぎから戻ったばかりで、小金を持っていた。左勇にとっては自分の再婚後の生活は満足できるものだった。殷红の甘い微笑みに満ちた雰囲気が部屋の至る所に漂って、台所でご飯を作っているとき、ベランダで洗濯物を干しているとき、客間や寝室を片付けているとき、彼女はいつも微笑みをたたえていた。左勇はいつもこの笑顔の中でうっとりとしていた。【迷失:迷う、見失う】

=けれどもある時、意図せずに左勇殷红の携帯に子どもの写真を見つけてしまった。子供の顔立ちは殷红ととても似ていた。その瞬間、彼の頭はまっ白になった。

殷红左勇が自分の携帯を持って、子供のあの写真を見ているのを見つけた時、あっと驚き、自分の秘密がとうとう彼にばれてしまったと悟った。そこで、彼女は自分が広州で出稼ぎをしていた経緯をゆっくりと彼に語り始めた。:広州での最初の年に、彼女は家政婦紹介所に身を置き、ある男によってその家に雇われた。はじめはその男の田舎の母親を世話すると言われていた、が、男の母親はずっと現れず、彼女と男は一緒に生活し、その後うやむやのままに男の「世話」をした。一年後に息子が生まれ、それが携帯のあの子供だ。三年後、男は彼女に30万元の手切れ金を与え、彼女はそれを携えて戻って来たのだった。【愣住了:あっけにとられた 保姆市场:家政婦紹介所】

殷红涙を流しながら言った:「私はあの生活を後悔しているわ、もう一度新しい生活を始めたいの。あなた、私をどうか許してください。」左勇は叫んだ:「よくも君は別の男の愛人になんかになって、堕落できたものだよな。」言い終わると不機嫌な顔で玄関を出て行った。出て行った左勇は物も言わずに歩き、知らず知らずのうちに、なんと前妻・灵慧の家のそばまで来ていた。彼は少しもためらわずに彼女の家にやって来たが、しかし、彼を失望させたことには、灵慧は不在で、麻雀を打ちに出かけていた。灵慧は彼との離婚後、情熱のすべてを麻雀に捧げ、麻雀こそが自分の最も愛すべき恋人だと自嘲するほどだった。左勇はその後もう一度来てみたが、その時も灵慧は留守だった。灵慧の父親は彼に言った「灵慧はお金の取り立てに行ってるんだ。」彼は少し驚いて、尋ねた:「取り立てですか?」白の父親はため息をついて、言った:「娘ははめられたのさ。前に、社長にいつも麻雀打ちに呼ばれて、打てば打つほど賭ける額が増えて、娘の気性は、君は知っているだろう、すごく強がりたがるんだ、結局病みつきになって、ひどい借りを背負うことになったわけさ。借金を取りたてる奴らの取り立てもひどくて、娘はある時馬鹿なことをして、とうとう公金を流用したのさ。金を流用した丁度その直後に、告発されちまったんだ。」【稀里糊涂:うやむやに分手费:手切れ金 追款:返済・支払を催促する 走火入魔:病みつきになる 犯浑:馬鹿なことをする 挪用:流用する】

左勇はこれを聞いた途端に理解した、灵慧は他人がしこんだわなにはまってしまったのだ。彼は灵慧は戻って来られなくなったなと思った。これが、彼が灵慧の家を訪ねた最後だった。

=半年たったある日、左勇は公安局刑事課の巡査だと名のる電話を受けた:「おたく、左勇さん?今どちらに?あなたにある人の確認をしてほしいので、お迎えにあがります。」左勇は、自分が警察に遺体の確認を頼まれることになろうとは、思いもよらなかった。遺体は川から上がった女のものだった。彼の頭に最初に浮かんだのは、:灵慧が川に身を投げたんだな。という事だった。彼は言い表せない悲しみを感じた。しかし、その遺体に近づいたとき、彼は突然気づいた。その女の遺体は灵慧ではなく、彼の現在の妻の殷红だった。その瞬間、彼は危うく息が止まりそうになった。

左勇は公安局に連れて行かれ、警官は次から次へと尋問をし、彼は全く返答できなかった。彼はしどろもどろに絶え間なくひとつの言葉を繰り返した:「私は、私には妻を殺す理由などありません!」警官はどなった:「とぼけんな、誰だって知ってんだよ、お前さんの女房は広州で別の奴の愛人で、私生児までいたってな……」その瞬間、彼は頭を殴られた気がした、もともとみんな知ってたのか、ようやく最後に知ったのが俺だったとはな!それから後、左勇は留置所から釈放された。【答不上来:返答できない 结结巴巴:しどろもどろに 做小三:愛人をする・愛人になる 脑袋大了:驚いた】

=犯罪の嫌疑がかけられた人はやはり捕まった。それは殷红が広州で愛人をして、そのために息子まで生んだ、その男だった。男は殷红が忘れられなくて、絶え間なく携帯で騒ぎ立てて、彼女を広州に引き戻そうとした。最後には息子が母親を恋しがっていることを理由にして無理に彼女を広州に来させようとした。殷红は断固として断った、彼女は息子に会いに行きたくないわけではない、彼女はあのころの生活をすべて忘れたかった、新しく人生を始めたかったのだ。男は彼女をほっておかなかった、突然汽車に乗ってこちらにやって来た。ホテルで、男は彼女に会いに来るように誘って、彼女は行った。それで最後のけりをつけようと思ったのだ。結局、二人が言い争ううちに、男の理性は気が狂うなかで見失われた。両手で絞めつけて、彼女の命を奪ったのだ。事が終わっても、男は命がどうしてこんなにも一撃に絶えないもろいものなんだろうかと納得できなかった。けれども本能の赴くままに、現場をきれいにし、疑われないようにしなければならなかった。そしてあの漆黒の夜に男は遺体を特大のトランクの中につめこんで川にほおりこんだのだった。この過程のすべては、よく聞く痴情のもつれ話だ。【为由:理由とする 疯狂:精神に異常をきたす 吞噬:まるのみする 不堪一击:一撃にもたえない 摆脱:のがれる 听滥:やたらに聞く】

=数日後のある晩、左勇はリビングに座って顔中に涙を流して、殷红のことを思っていると、携帯が鳴った。彼が手探りで見ると、なんと前妻の灵慧からだった。灵慧は携帯で言った:「わたし、戻ったわ、何日か前にね。お父さんからあなたが訪ねて来たって聞いたわ。私、今は問題なくやってるわよ…」左勇はモソモソと言った:「大丈夫なら、いいんだ。大丈夫なら、良かった…」

=携帯の向こうは騒がしかった、ただ聞こえるのはペチャクチャと話す女の声や麻雀の音だ。左勇は言った:「きみ、今もまだ麻雀をやってるのか?止めなよ!」灵慧は言った:「なんで止めなきゃならないの?社長は私の借金をすべて返済してくれたのよ。わたし、身を任せるしかないのよね。どんな身分だろうといいわ、愛人よ、あ、い、じ、ん!自由があって、使えるお金がありさえすればいいのよ。あなた、それでも私にやめなきゃだめだっていうの?ははは……」

=携帯からは乱れた笑い声が聞こえてきた。

 

**堕落はなかなか止まらない。堕落への罠にはまらないようにしっかり生きなきゃならない、人間って大変。左勇君、堕落はしないけど、堕落した人を救うことはできない。ほとんどの人はそうだなあ。なんか後味悪いお話でした。

 

面白さ★★☆☆☆

難しさ★★☆☆☆

 

7月の授業:8、22(15、29は休み)

次回は2015中国微型小 排行榜P.284〜285预言』時間が余れば、十大最佳微小最大的耀からです。

 

author:多摩中, category:講読編, 09:09
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2020.6.24Wednesday>>講読編,

2020624日(水)講読【】出席7名(聴講4名)

搭车』 『ヒッチハイク  孙 晓燕                

2015中国微型小 排行榜P.278-280)

豪爵150ccのオートバイはラサから80キロのリンジイの道を疾走していた。まるでカモシカが喜び勇んで駆け回っているようだ。バイクの上には一人の男と一人の女がまるで恋人同士のようにしっかりとくっついていた。実のところは、彼らは恋人同士ではない、バイクの主とヒッチハイクの女の子はちょっと前に知り合ったばかりだ。

=一陣の雨が止んだばかりで、道の両側の草むらがてらてらと光っているのが目を引いた。遠く広く一面の菜の花がきれいに咲いている。神秘に満ち溢れ、誘惑に満ち溢れている、こんなところではどんなことが起こっても不思議ではない。この二十日あまりの間に、彼は危険な現象に見舞われていた。チベット犬に追われ、土砂くずれ・土石流に遭い・雹に打たれ……

=今日の奇跡は、彼の背中に髪の長い大きな瞳の木蓮の花のように美しい女の子が加わってくっついていることだ。彼は女の子の身体のいい香りをかいでいた、それは女の子の身体や洋服にまとわりついている香りだ。「君たちみたいなヒッチハイクをやる女の子たちって本当に度胸があるよね、悪い人にあっちゃうとか怖くないの?」彼はきいた。「怖くないわよ!フフッ。わたしがこれまで会った人達はみんな親切だったわ。軍の車だって、お巡りさんのパトカーとか、トラックとかにも乗ったわ。最高だったのは、知事の車に乗った時よ。4日間ついていって、食費もホテル代もただよ。ホントは、わたしにずっと知事たちについて行って、布久で一緒に遊んでほしかったみたい、でもわたしラサに早くいきたかったのよ、だからあなたのバイクに乗ったってわけ。」

=大きな雲が一つ二つと彼らの頭の上に移って集まって来た、大きな雲は小さな雲をとりまいて、少し経つと、ゆっくりと溶けて一つになった。女の子の髪は顔の上で跳びはねていた。女の子の二つの手は彼の腰に回されていて、上半身の全部が彼の背中にぴったりと貼りついていた。バイクの車輪が上下に揺れると、女の子の豊かな胸がずっと彼の背中に当たっていた。全てはこんなふうに夢みたいで、彼は突然この時二人っきりになりたいと思った。また、土石流に遭遇したり、道でバイクが壊れたりして、二人がそこで立ち往生して、月の光の下で寄り添ったりして……

=彼は頭を傾けて言った:「日暮れ前にラサには着けないよ、だからここら辺で泊って…」「いいよ!二人でテントに潜り込んでね……」声はバイクの振動でゆれて、彼を誘っている、彼はある人が言っていたのを思い出した。:ヒッチハイクは恋物語の始まり。風は耳のそばをすり抜け、サーサーという音がしている。朝のひとしきりの雨の後、その溜まった雨水がタイヤの下で四方に飛び散る。この時彼は女の子が彼の背中から離れて、彼の胸の中にいるのに気づいた。彼は頭を下げて彼女の額にキスをした……。【×她的后背→〇他的后背

=突然タイヤがざっと滑って、バイクは地面に横倒しになった……彼は地面から起き上がって、女の子のところへ駆けよって言った:「大丈夫?」女の子は地面に座っていて、立ち上がらない、顔が醜くこわばっていた。彼は腰をかがめてゆっくりと彼女を助け起こした、見ると彼女は大けがはしていないようで、彼女の身体に着いた土をちょっとはらった。突然女の子はびくびくしている一羽の鳥のように甲高く叫び始めた、「ああっ!私の脚、踵が!」彼はかがんで彼女の踵がすりきれて、血がにじんでいるところを見つけた。絆創膏をもってくるよ。彼は顔の汗をこすると、ようやく顔が痛いのに気づいた、顔を道路の石でこすったんだ。でも彼は自分などかまわなかった、自分のこの顔は20日の間、高原の風に吹かれ雨に打たれてきたから、とっくに容貌なんて見る影もない。

=女の子は地団駄をふんで「絆創膏」を貼らせなかった。「マジで、あんたのバイクに乗ったのが運のつきってやつね!マジで後悔だわ、あの知事の車で一緒に遊んどけばよかったわ……」

=「脚の傷が残っちゃうんじゃないの?病院に行って全身の検査をしてMRIも撮って、脳に影響がなかったかちょっと見てもらわなきゃ。」彼の頭はガンガンとしてきた。全身の検査をすると、少なくとも半日は時間がかかる、さらに言えば、自分のポケットのお金はたぶん医療費を支払うには足りない。自分がこんな面倒なことに遭ってしまうとは、事前の旅行計画には想定していなかった。「僕はそんなに金はないんだ。」彼は財布を罰が悪そうに彼女に見せた。

=「わたしは貧しい学生だからもっとお金はないわよ。いくらあるのよ?わたし、自分で検査にいくわよ、あとは一日の食事と宿泊費がいるわ。」「君、自分で見てくれよ、これしかないだろ。」彼は財布の中のお金を全部出した。「あるだけ全部で、いいわ、わたし、ついてないわよね」女の子はぶっきらぼうにお金を奪い取った。「君、どうやって病院に行く?なんなら、ぼくが送ろうか?」「ごめんだわ、二度とあんたのバイクになんか乗りたかないわ。」

=女の子は言いながらリュックを背負い、道端に向かって歩いて行った。彼女が型通りに親指を挙げると、丁度よく一台のジープが止まった。彼女が甘い声で「お兄さん、ラサまで行く?」と言っているのが聞こえた。ジープの主は折よくラサに行くようで、女の子は車に乗った。彼の頭はガーンとなった。彼女は病院ではなく、ラサに行くんだ。彼がバイクを起こすと、右側のプロテクターがいくつかの破片になって砕けていて、右前のウインカーも砕けているのに気づいた。彼はくさくさして、猛然とバイクをふかして、一段加速した。バイクはまるですでに長い間いらいらしていたように、突然うっぷんを吐き出し、車体のフロントが急に立ち上がった。

=彼は日暮れ前にラサについて、車を売って、売った金でラサの旅を続けようと思った。

数日後、彼はラサの道を歩いていた。するとよく知った顔を見つけた、正に、あのヒッチハイクの子だ。彼女の背中の大きなリュックは見当たらず、髪は乱れ、汚れて、目つきはぼんやりと、壁の角に斜めに寄りかかっていた。

=彼はそこにたたずみ、彼女のところへ行くべきなのかわからないでいた……

 

***バイクの振動や飛んで行く風景、怖いもの知らずの女の子。純な男の子。生き生きと描けています。危なっかしいけど、若者の瑞々しさがなんか心に残りました。

 

面白さ★★★★☆                     

難しさ★★☆☆☆

 

7月の授業:1日、8日、22日

次回は2015中国微型小 排行榜P.281〜283『堕落』時間が余れば、十大最佳微小最大的耀からです。

 

author:多摩中, category:講読編, 18:55
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2020.6.10Wednesday>>講読編,

2020610日(水)講読【】出席8名(聴講4名)

回家的路』 『家路  朱道能                     

2015中国微型小 排行榜P.275-277)

=あの年、年の瀬が近づこうとしていた。私は大晦日の早朝6時のバスの切符を前もって買った。その翌日、一年近くも離れ離れの息子に会えると思うと、私と妻は嬉しくて一晩中眠れず、明け方頃やっとこんこんと眠りに落ちて……妻の驚いた叫び声を聞いた時、時計の針は既に7時を指していた。私は慌てて妻を呼ぶと、すぐに国道107号線に車を拾いに行った。行ってはみたものの、私の心の中はその国道のように、ガランとしてしまった。――大晦日の国道で、どこにまだいつもの車の盛んな往来があるだろうか?【提前:前もって 拦车:車を拾う・ヒッチハイク 车水马龙:車の往来が盛んなさま

=この時、私は道端に3人の家族がいて、同じようにイライラして見渡しているのが目に入った。ちょっと尋ねると、やっぱり車を拾って家に帰るところで、しかも同郷の河南の人だった。ずっと午後の4時すぎまで待って、私達はついに一輌の「L」というナンバーの空のトラックがゴーゴーと走って来るのを見つけた。誰かわからないが、一声叫んだ「行こう」、何人かがものずごい権幕で道に突進し…耳をつんざくようなブレーキ音がすると、一人の真っ黒な太った運転手が飛び降りて来て、怒鳴った。:大晦日に、お前たち死にたいのか?【张牙无爪:ものすごい権幕で

=耳馴染みのお国訛りが多分聞こえたのだろう、運転手の顔は和らいだ。彼は考えこんで言った:前は座るところはもうないよ、荷台にしか座れないよ。一人30元、乗りたきゃ早く乗りな、――そこで私達は慌てふためいて、荷台に這い上がったら、生臭いにおいがもわっと顔に当たった、どうやらそれは屠殺された豚を乗せる荷台のようだった。車は動き出し、故郷を目指して、一路北へ向かった。【手忙脚乱 てんてこ舞いする 扑面:真正面から顔に当たる

=座ると、私たちはハーッと長いため息をついた。そしてホッとして世間話を始めた。林という同郷の人は、朝早くから夜遅くまでの野菜売りは過労になると話し、私は露店では陽にさらされ雨に濡れて苦労すると話し、その後はひとしきり嘆いた。一方女たち2人が話していたのは、子どものことだ。林さんは言った。息子は虎子といい2歳で、故郷の家には7歳の娘もいて、大という。祖父母と過ごして一年たつので、顔も思い出せない。ここまで言うと、彼女は泣き出した。妻は唇をかんで顔をそむけた。【过脸去:顔をそむける】

=虎子はとても聞き分けが良くてお母さんの胸の中で横になって黙って何も言わない。私は息子の為に買ったおもちゃのピストルをとりだして手渡した。虎子はちょっとみると、とても気に入った。眠ってもまだしっかりと胸にピストルを抱きしめていた。

=途中で、雪が降って来て、雨が雪まじりになった。さらに風が吹き、芯から冷えた。私は妻と視線を交わすと、身体を移動して、親子の前をとりまいて遮るようにした。

誰も何もいわなかったが、四人は互いに目を合わせて、ちょっと微笑んだ。雪がだんだんひどくなってきて、さらに風も一吹きするごとにきつくなった。河南の境に入るなと見ていると、突然急ブレーキがかかって、車が止まった。少しすると、運転手が車の側面を叩いて叫んだ:降りて、ちょっと動かしてくれ、車が動かなくなった。

=道が凍結して、タイヤが空回りし、前方では事故が起きていたからだった。運転手は子どもが寝ていると耳にすると、大きな声で怒鳴った、なんで早く言わない?急いで抱っこすると運転室へ行った、風邪ををひいたらどうする?私達の心はポッと温かくなって、運転手としゃべり始めた。彼は商品代金が揃わなくて、だから年越しまで引き延ばしてやっと家に帰るんだと彼は言った。この時、道からさほど遠くない村から爆竹の音がひとしきり聞こえてきた。私は軽くため息をつくと、:家を離れて、みんな大変だ!【到位:予定の額に達する】

=どれほど時が過ぎたか分からないが、車はついにじりじりと動き始めた。このとき林さんは一人で荷台に這い上がった。彼女は言った、虎子はまだ寝ていたわ。もう一人の交代の運転手さんが抱っこしてくれていたわ。車は動き始めたけれども、片側通行をとなっていて、かたつむりのようにのろのろと、しかも走ったり、止まったり……。

=うとうとしていると、私は運転手が叫んでいるのが聞こえた:信阳の人、着いたぞ!足がしびれてしまったのか、嬉しすぎたのかもしれないが、妻は起きた時、ちょっとよろめいた。道連れの同郷の家族と手を振って別れた後、私は運転室まで走って行って、ポケットに手を入れたとたん、運転手は言った:早く家に行きなよ。言うとアクセルをふかして、ブワッという音とともに、走り去った。私は我に返ったが、赤い2つのテールランプがパッパッと光るのをただ見届けただけだった……

=その後、よろよろと10キロばかりの山道を歩いて、私達はついに我が家の扉を押し開けた。妻は鞄を置くと、手を伸ばして息子を抱くと、一言叫んだ:ちゃんちゃんママが帰ってきたのよ……母は言った:大きい声を出さないで、よく寝ているんだから。朝早くおじいちゃんの手を引っ張って、あんたたちを迎えに村の入口まで行ってたんのよ。表は風が音をたてて吹いていたのに、それでも外でじっと見てたんだよ、ずっと11時まで待っていて、やっと寝たところなんだよ……

=妻は頭を息子の胸にうずめて、しっかりと抱きしめた。この時、私はおもちゃのピストルを思い出した――ハハハ、虎子のお正月の贈り物になっちゃったな。

【算:〜ということになる】

=この時父が口を開いて、母に言った:おまえ、歓迎の挨拶はそのぐらいにして、早くあったかいご飯と料理で、一緒にみんな揃って飯にしよう!私は驚いた:父さんたち、まだ食べてなかったの?父は爆竹の束を持ち出して来て、無邪気にちょっと笑った:お前何を言ってるんだ、年越しだ、年越しだ。一家が皆一緒にすごさないで、何が年越しだって言うんだ?私は胸にじんときて、大慌てで父の手の中の爆竹を受け取ると、速足で庭に出た。

 バチ、バチ、バチ、バチ、爽快な爆竹の音が響く中、私たちの家も年越しだ!   

 

**一日中両親の姿が現れるのを待つ子供。ちょっと泣ける。爆竹は今は下火らしいです。

 

面白さ★★☆☆☆

難しさ★★☆☆☆

 

6月の授業:24日(17日は休み)

7月の授業:1日、8日、22日(15日、29日は休み)

次回は2015中国微型小 排行榜P.278〜280搭车』時間が余れば、十大最佳微小3最大的耀からです。

 

 

 

author:多摩中, category:講読編, 14:36
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2020.6.3Wednesday>>講読編,

2020年6月3日(水)講読【陈老师】出席8名(聴講4名)

『烂心白菜』 『芯がくさった白菜』   蓝雪冰儿著

(2015中国微型小说 排行榜P.272-274)

 

=今回初めて牛おばさんは張おばさんの家に野菜を借りに行って、借りて来たのは芯が腐った白菜一個だった。知っておいた方がいいのは、牛おばさんは手の平を横切る手相線2本が両手とも重なっている人(双手握横纹的人)だということだ。ひとつ前の世代の人は、「双手握横纹的人」は生涯人をあてにしない、と言ったものだ。牛おばさんは思った。もし町の道の通行が止められてなければ、そしてそれで市場が商品を仕入れられない事態がなければ、更に、もしも、思いもよらず孫が田舎に住みに来ているようなことがないなら、私は絶対に人をあてになどしない、と。【牛嫂 张嫂:血縁関係はない、】

=そして今、人に頼んで、野菜を借りたが、借りたものときたら、芯が腐った白菜一個だった。牛おばさんがどうしてくさくさせずにいられようか?牛おばさんは向いの家にむかって思いっきり罵ってやった。残念なことに、張おばさんは野草摘みに出かけていた。実際の所、たった野菜一個のことで、もし古い誼の二人が本気に口論でもしたら体裁が悪いと牛おばさんだってわかっている。だから、牛おばさんは白菜を下げて家に入り、一人、芯が腐った白菜を前にムカムカしていた。【窝囊:くさくさした気持ちになる 吗搡:激しくののしる 挖:根っこごと採る 野菜:山菜、野草】

=孫はゲームをし終わると、祖母の手にある白菜を見て、涮菜(ゆで白菜、たれをつけて食べる)を食べたいと騒いだ。以前は、もし自分の家の白菜の芯が腐っていたなら、牛おばさんは芯を捨てて、残った外の葉を食べてしまっていた。だけど、孫よ、孫といえば?それは我が家の大切な大切な宝もの。おまけに、孫は町でおいしいものを食べることに慣れっこになっている。牛おばさんは孫の機嫌をとって言った。いい子だから、涮菜じゃなくて、お肉じゃだめかい?孫は口をとがらして言った、やだ、ぼくは涮菜が食べたいんだよ。【家贝疙瘩:家の宝・かわいい子 习惯了:慣れっこになる】

=牛おばさんは憂鬱になった。その時、張おばさんが野草の袋をぶらさげてやって来ると、牛おばさんに向かってせわしなく言った。町にいる息子が電話をかけてきて、言ったんだよ、孫娘が病気だから、何日か来て面倒をみてくれって。張おばさんは牛おばさんに自分の家の犬の世話ちょっとみてくれと頼んだ。以前から張おばさんは息子の家に行くとき、いつも家の犬の世話を牛おばさんに頼んでいた。牛おばさんは人に頼ることは好きではないとは言うものの、心根の温かい人ではある。その上、二人ともに夫をすでに見送り、息子が町に暮らしていた。牛おばさんは張おばさんに対しては、それぞれの生涯で辛い運命に翻弄された者同士だという一種の共感を感じていた。【别着〜 但…:〜とは言うものの…だ】

=今回ばかりは、牛おばさんは躊躇っていた。けれども、張おばさんはその様子を少しも気づかず、野草を持ったまま行ってしまった。さほどしないうちに、また引き返してくると、白菜を2つさげていて、牛おばさんにあげると言った。牛おばさんは白菜をちらっと見ると、目を輝かした。張おばさんが立ち去るや、牛おばさんは大急ぎで白菜の葉をはいだ、孫に涮菜に作ってやろう。けれども、白菜の葉をはぐや、牛おばさんは再び怒りだした。さらに、もう一つの白菜をはいでみると、2つとも同じように芯が腐っていた。今回は、孫のために涮菜を食べさせることはとうとうかなわなくなった。

=牛おばさんはついに断定した、張さんはわざと自分に嫌がらせをしたんだ。そうでなければ、どうして何回も私に芯が腐った白菜をくれるんだ?牛おばさんはさらに最近聞いた一つのうわさを信じ始めた。牛おばさんは自分では張おばさんとの仲は良いと思っていた、が、ある人が牛おばさんに、張おばさんは本当は牛おばさんのことを嫌っていると話した。なぜなら、牛おばさんの息子が町で住んでいるのは豪邸で、食べるもの着るものすべてが一流だからだ。なのに張おばさんの息子は賃貸に住み、マンション購入のために、食べるもの着るもの、みな節約しているんだ!張おばさんはかつてその人に言ったんだそうだ、神は本当に不公平だわね、幸せになるべき人がどうして幸せになれないのかね?【过不去:困らせる 别墅:ここは豪邸】

=牛おばさんはついにはっきりわかった、嫉妬が恨みとなったんだわ。張さんは私に言いたかったんだわ。彼女の心はこの白菜のように傷んでだめになっていると、もうあなたの仲の良かった友だちなんかじゃないと。牛おばさんは白菜をみんなゴミ袋に詰め込むと、いっきに村の外のゴミだまりまで走って行って、遠くにほおり投げた。

=孫は涮菜を食べられなかったので、ずっとふくれていた。けれどもその後アニメを見て、すっかり心のうさは忘れてしまっていた。牛おばさんは孫がうらやましかった、心にイライラを留めたりしない。なのに自分ときたら?すべてのことが頭の中に戻って来ては、まとわりついて、寝ようたって、眠れやしない。【一股脑儿:一斉に】

=最初の数日、張おばさんの犬は何回か食べ物をもらいにやってきたが、いつも牛おばさんに追い払われた。犬はとても利口だったので、牛おばさんに何回かぶたれた後には、来なくなった。牛おばさんは出たり入ったりしたが、犬の姿は見なかった。彼女は心の中で毒づいた。もうじき死ぬわね、そうなりゃ、あの人の悲しむ顔が見られるわ。【好〜:〜するのに都合がよい、〜することができるように】

=瞬く間に、10日ほどが過ぎた。息子が孫を迎えにやってきた。今回は嫁までもやってきた。息子と嫁は何回も牛おばさんに一緒に町に来るように懇願し、さらに牛おばさんに父親の位牌を持って来てもいいと言った。牛おばさんは少し意外だった、彼女は何度も息子と町へ行くことを拒んでいた。事実、亡くなった夫を置き去りにできなかったのだ。彼女はどうして息子がこの秘密を知ったのか分からなかった。息子は言った、張おばさんが教えてくれたんだよ。牛おばさんはそれを聞くと、突然少し申し訳なくなった。彼女は張おばさんの犬を思い出すと、すぐに出て行ってあの犬を探そうと思った。丁度その時、張おばさんが戻って来た。彼女の後ろにはあの犬がいた。

=張おばさんは牛おばさんに犬を世話してくれたことを何度も感謝し、さらに言った。あなた、やっと町にいくことに同意したのね。これで良かったわ。幸せになるべき人がようやく幸せになれたのね。

=牛おばさんはますますきまり悪くなって、取り繕って、言った。う〜ん、幸せ、幸せかもね。牛おばさんは荷物を用意し終わると、息子の車に乗った。走り出そうとしたその時、帳おばさんが家から走り出て来て、言った、ねえ、わたし今さっき家の白菜を見てみたら、芯がみんなくさっていたのよ。ちょっと聞くけど、あなたにあげたあの白菜、芯が腐ってたんじゃないの?

張おばさんは急いで首を横に振って、言った。腐ってなかったって、そんなことあるはずないのに? (完)

***不爱求人「人様に頼ることを良しとしない」牛おばさん。健気に生きてきた。張さんに初めて借りた白菜が腐っていた!貰った2つ目も!3つ目もだ!さらに、犬の世話まで頼んでさっ!怒り爆発。牛さんの心に負のエネルギーが満タンに。善意の固まりなのに罪作りな人っている、それが張さん。I love 牛さん。

面白さ★★★★☆

難しさ★★☆☆☆

 

6月の授業:10、24日(17日は休み)

次回は2015中国微型小说 排行榜P.275-277『回家的路』時間が余れば、十大最佳微小说精选3最大的耀からです。

 

 

 

 

 

author:多摩中, category:講読編, 18:49
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2020.5.27Wednesday>>講読編,

2020527日(水)講読【】出席8名(聴講4名)

书匠』 『代書屋』  孟 宪歧

2015中国微型小 排行榜P.268-271)

古城では書簡を専門に代書する人を代書屋(书匠)と呼んでいた。その年、古城に一人の青白い書生がやって来た。眉目秀麗で、灰色の着物を着て、古城で通りに面した場所に一つの店を借りた。書斎に紙、墨、筆、硯を据えると、すぐに手紙の代筆を頼む人がやって来た。実のところ、日本人は追い払われたばかりで、国民党は今や、共産党に銃を向けていた。【文房四宝:書斎・紙・墨・筆・硯のこと】

=戦争で世が乱れていれば、家との手紙は何にも代えがたい。他郷を転々とする人は、家に平穏無事を知らせたい、となれば、代筆屋は食べてゆく手立てを得る。その代書屋の字は美しく、その極めて端正な楷書は賞賛されていた。客があれば、代書屋は忙しく客に手紙を書き、客がなければ、自分で習字の練習をしていて、楷書・草書・隷書・篆書、様々に精通していた。【兵荒马乱:戦争で世が乱れる様 吃饭的家什:食べてゆく手立て、食扶ち 蝇头小楷:極めて小さい楷書 真草隶转:楷書・草書・隷書・篆書】

=ある日、代書屋の店の向いにある家の公邸から一人の絶世の美女が歩いて出て来た。黒のスカートに白いブラウス、緑の黒髪で代書屋のそばまでやって来た。代書屋の目がぱっと明るくなって、聞いた。「お嬢さま、何の御用でしょうか?」女性は顔を真っ赤にすると答えた。「わたしは、お嬢さまなんかではありません。あなたの字がきれいだと聞いて、ちょっと見たいと思って。」代書屋は微笑んで言った。:「お恥ずかしい。私の字など、人前にお出しできるものではありません。」女性は言った、「それでは、わたしに手紙を一通書いてください、わたしが言うので、書いてください。」不登大雅之堂:品の悪い・人前にだせない・公にはそぐわない】

=代書屋は女性が言う通りに書いた:「お父さん、お母さん、手紙にて失礼します、私の方は万事うまくいっています。ご心配には及びません。近く、私は秀水に行かなければなりません。戻ったらまた連絡します。娘より。」代書屋は書き終わると尋ねた:「こんなに簡単でよろしいのですか?」女性は答えた:「これで結構です。」女性はお金を払うと、代書屋が書いた手紙を手に出て行った。歩きながら、手紙を見ていた。见信如面 :お会いするような気持ちで筆をとります。】

=代書屋はこの女性のことを不思議だと思った。他の人は、彼に手紙の代筆を頼むとき、普通、誰でも多ければ多いほど良しとする。代書屋は客の要求に応じて、できるだけ多くご機嫌伺いの言葉を書き、書き終わると、もう一回読んで、客が満足して頷くまでそれを続ける。それなのに、あの女性はあんなに簡潔で、さぞかしよく学んだ学生なのだろう。その後、代書屋は人づてに、その女性の名はといい、家の公邸の令嬢だと聞いた。その公邸には古城の国軍のという名の師団長が住んでいた。【国军この場合は国民党の軍隊】

=ある日、代書屋が習字の練習をしていると、一人の中年の婦人がそばにやってきて、言った:「私に手紙を一通代書してください。私が言うから書いてください。」その婦人は暗唱のように言葉を読んだ。「叔父様、叔母様、最近、お身体はいかがですか?私はこちらで平穏無事にしております。けれども金に行こうと思い、近々出発します。」代書屋は喜んだ。意外にも婦人の口から出た文章はみな立派だ。代書屋は書き終わると、尋ねた:「まだ他に書きたいことはありますか?」婦人は答えた:「結構です。お嬢さまにこう書くように言われましたから。」代書屋は聞いた:「お嬢さまはどうしてお見えにならないのですか?」婦人は答えた:「お嬢さまは重い風邪で。」代書屋はうなずいて、それ以上は何も言わなかった。【出口成章:口にするところみな立派な文章となる 伤寒:腸チフスの意もあるが、ここは重い風邪の意。】

=またある日、あの美しい女性がやって来た。その女性は言った:「書いていただけますか。:『おじい様、おばあ様!お誕生日おめでとうございます!私は三日後清水に行きます。乗船券を手配して下さい。』」代書屋は突然言った。「お嬢さま、あなたのこの手紙はお家の方へのお手紙というより、むしろ公文書のようですね?」それを聞くと、女性はふくれっ面をした:「私を馬鹿にしないでください。私はお嬢さまではありません!」言い終わると、女性はぷんぷん怒って帰って行った。代書屋は長いこと黙ったままだった。数日後、相変わらずあの婦人が手紙を代書してもらいにやって来た。代書屋は尋ねた:「おたくのお嬢さんの手紙は毎回ほとんど同じですよね、それでもこれまで重複はしてないですね?どうしてですかね?」婦人は答えた:「お嬢さまはこっそりあなたをなぞって、習字の練習をしていらっしゃるのですよ。」突然、代書屋は何とも言えない喜びを感じた。なるほど、そうだったのか!

=その年の秋、ある人が代書屋のところにやって来て、書きつけを一通手渡した。代書屋はそれを見るや、たちどころに飲みこみ、慌ただしく家に駆けつけた。見張りの守衛は銃をさっと横にして阻んだ、「何の用だ?」代書屋はすぐに笑顔を見せて答えた:「お嬢さまに少し字を見てくれと頼まれたものですから。」守衛は代書屋を中に通した。代書屋はあの女性に会うと切迫して言った:「私は杜玉生といいます、家に指示が来ました。あなたと師団長のご家族と直ちに一緒に逃げろ、いうことです。」女性は問い返した:「なぜです?」代書屋は答えた:「状況は緊迫しています、逃げなければなりません!」女性は尋ねた:「あなたのこと、どうして信じられます?」代書屋は答えた:「私の字を、あなたは見てきたでしょう?縦にも横にも真っすぐの線、これは私が人として規範としていることです。」女性は少しためらったが、尋ねた:「荷物を少し持って行ってもいいですか?」代書屋は答えた。「大事なもの、少しなら大丈夫です。」少しすると、女性はトランクを一つ手に提げ、後ろには一人の鷹揚で美しい婦人を従え、代書屋の後について、古城の駅へとたどり着いた。

=次の日、解放軍(共産党)の前線司令部では、前線で蜂起した師団長がその夫人に会うことができた。あの美しい女性は解放軍の司令官と一緒に師団長に会いに来た。師団長は驚いて尋ねた:「小雪、お前は司令官と知り合いかい?」司令官はハハハと笑った:「師団長、師団長の姪御さんの小雪さんは、我々の地下工作員なのですよ。」師団長もハハハと大笑いした:「どうりで、わしの行動が君らの手の内にいつでもあったわけだよな?敵が心臓部に潜り込んでいたら、どうやったって勝てる道理などないよな?」【怨不得:どうりで〜だ :どうして〜のことがあろうか】

師団長の家族を歓迎する宴会の席には、代書屋も参加した。もともと、代書屋は共産党の通信連絡部隊の隊長で、人の為に手紙を代書することを隠れ蓑として、古城の情報を集めていた。一方、小雪は家の公邸に潜伏する共産党員で、彼女は逐次師団長の部隊の行動の秘密を手紙で党組織に送っていた。その時、師団長が前線で蜂起した、事態は緊迫していた。師団長の家族の安全を確保するため、組織はその任務の完了を代書屋に託した。当時小雪と関係していた連絡員に思いがけないことが起きた。そのため、代書屋と小雪はそれぞれに連絡係がいたから、誰の身分も信じられない状況だったが、やむなく代書屋はその人格の力で小雪を説得したのだった。【只好:やむなく、〜するより外しかたない】

=新しい中国が成立した後、全国に、ある一組の書道家夫婦が現れた。その上、最も人々に不思議だと言わしめたのは、夫婦二人の書の作品が驚くほど似通っていたことで、書道界では夫婦大書道家と称された。これがまさに杜玉生郑小雪であり、一時書道界に美談として伝わった。 (完)

**師団長が国民党から共産党に寝返ったという解説が必要でした。字は体を表す、またもや耳が痛い。字の好みもあるように人の好みもあるから結局好きだったのね。う〜ん。もう少し夫婦の人柄の色付けがほしいけど、短編だから仕方がない…。思想がらみの美談?はあまり心に響かない。

面白さ★★☆☆☆

難しさ★★★☆☆

 

6月の授業:3、10、24日(17日は休み)

次回は2015中国微型小 排行榜P.272-274『烂心白菜』時間が余れば、十大最佳微小3最大的耀からです。陈老师が、次回分の録音と、《见信如面》(作家と画家間の手紙の朗読)の動画紹介をメールでお送りくださいました。いつもありがとうございます!ゆっくり拝見します。  

 

 

 

author:多摩中, category:講読編, 16:10
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2020.5/13Wednesday>>講読編,

2020513日(水)講読【】出席8名(聴講4名)

减肥妙方』 『夢のダイエット 海 天 

2015中国微型小 排行榜P.265-267)

=「トントントン……」外から規則的にドアを叩く音が聞こえて来た、速くもなく遅くもないリズムで、まるで専門訓練を受けたかのようだ。今日、このドアを叩く音が聞こえるのは、これで三度めだ。S子は自分の感情を用心深くコントロールしながら起き上がった。案の定、半透明な防犯ドアの向こうで、一人のきちっとしたスーツ姿の青年がニコニコして彼女に応対した。

=「うちは換気扇も洗ったばかりよ。自動車の保険も生命傷害保険も家財保険にも、みーんな入ってるわ。私は株はやらないから、株のソフトも手堅い株の紹介もいらないの。要するに必要なものはみーんな揃っているから、なにも言わず、帰ってちょうだい。」彼が口を開く前に、S子はべらべらとこれらの言葉全てをまくし立てた。「お客様、誤解なさらないでください。私は何かをお売りするのではございません、そうではなくて、お客様にサービスがしたいのです。お客様のご入用ではないものなら持ち帰らせていただきますから。」青年は上品で礼儀正しかったので、ふっとS子は彼を拒む理由を見失ってしまった。【油烟机:換気扇 牛股:手堅い株 倒出来:洗いざらい話す

=「おたく、廃品回収?」S子はとても多くの廃品回収業者を見てきたけれど、こんなに身だしなみがいい人に会ったのは始めてだった。明らかにセールスマンだ、なのにこんなに外見が鷹揚で立派で、かえってS子はその男の本当の狙いが何なのかちょっと知りたくなった。【冠冕堂皇:外面が鷹揚で立派 倒:かえって】

=「要するに、お客様はご自分の御身の上には何も余計なものはないとお感じでいらっしゃるのですね?」彼女がよく理解できなかったようなので、若者はさらに両手を使って腰まわりでちょっとジェスチャーをした。「なあに?私が太っているといいたの?私が今まで会った中で一番失礼なひとね。」とS子はおこってすぐにドアを閉めようとした。

=「お客様、誤解なさらないでください、」その青年は手を振って、言った。「お客様のスタイルは大変結構だと思います、けれども私はよく存じておりますが、あなた様は常日頃テレビでお顔をお出しになられ、カメラのレンズはとても丸いので、ですのでテレビに映るとあなた様は少しお太りになってしまうようです。」実際のところ、S子は自分の体形に対しては己を正しく知る力を持っている、確かに少し太っている、テレビに出れば、さらに無残にも見るに堪えなくなる。けれども、彼女はこの手の訪問販売のセールスマンに対しては、決して何の希望も抱いてはいない。

=「私はもう、いーっぱいブランドのダイエット薬は試しているのよ。でも、みーんな食べちゃいけなくて、それなのになんの効果もなかったわ。なんでおたくの製品を私が信じなきゃならないわけ?」「私どものこちらの製品をお使いいただきますと、お客様は存分にお召し上がりになることがおできになりますし、ダイエット効果につきましては、私どもは合意書にサインさせていただきます。もしも何の効果もございません時には、お代金すべてをご返金するばかりではなく、さらに同額の賠償をさせて頂きます。」

=「ふ〜ん、なんだか、自分の製品に随分と自信があるようね。」「私どものこのお品は最新の遺伝子技術による製品でございまして、驚くべき効果を保証いたします。ただ一つの欠点は、お値段が比較的お高いことでございます。」もし効果が本当にあれば、値段が高いのはむしろ払ったかいがあったことになる;もし効果がなければ、値段が高ければ高いほど、相手は賠償額が増える。そこでS子は合意書にサインし、大枚をはたいて一本の小瓶にはいった製品を買った。両者は一週間後効果の様子を見ることを約束した。

=一週間後、青年は約束どおりにやって来た。「おたくのダイエット薬は本当にすごく不思議だわ、数日だけで5キロやせたわ、本当に科学技術が生活を変えたわ。」「当然でございます。私どもの会社の製品は身体のひとつひとつの細胞の遺伝子を改変することで、減量させるのです、お客様の一つ一つの細胞の中には、今や、痩せる遺伝子が組み込まれたのです。ですからどんなに召し上がっていただきましても、けっしてお太りになりません。」「だけど、私ちょっと困っていることがあるのよ。私ビックリするほど食べるのよね、色々な美味しいものにお金がすごくかかるのよね、もっと困るのは、毎日ご飯食べるのに何時間もかかるのに、お腹いっぱいにならないのよ、いっつも仕事する時間がなくなっちゃうのよね。」

=「私は正に、そのことの為にうかがったのです、私どもの会社に最新の遺伝子技術による栄養素がございます。毎日こちらを一袋召し上がっていただくだけで、お客様の一日に必要な栄養を十分にお取りいただけます。」「ほんと?それはいいわね、とりあえず100袋買って、効果をちょっと試してみるわ。」

=「こちらの栄養素は陽と陰のエネルギーを集め、天地の霊気を集めております、ですから、お客様はおわかりかと存じますけれど、お値段が少々お高くなります。」「それはわかっているわよ。でももし効果が無かったら、返金だけじゃなく、賠償もしてくれるのよね。最近おたくみたいに誠意ある会社って本当になかなかないわよね。」

集日月之精华,聚天地之灵气:有名なサプリメント会社の広告コピー 凤毛麟角:極めて得難い 】

=一週間後、セールスマンの青年がまた訪問サービスにやってきた。「おたくの栄養素って、ほんとうにすっごく不思議ね、一日一袋食べれば十分だなんて、本当に科学技術は生活を変えるわね。だけど、今私ちょっと困っているのは、見てわかるでしょ、私、ここのところ、ちょっと痩せすぎなのよ、まるで骨と皮みたいだと言えるわよね、私、太る薬をたくさん試したけど、みーんな、なんの効果もなかったのよ。」

=「私は正にあなた様のそのお悩みの為に参りました。私どもの会社は新たに増量できるお薬を発明致しました。最新の遺伝子技術を取り入れまして、お客様の体重を素早く増やすことができます、当然のこととなりますが、研究開発のコストが比較的高くなりましたので、このお薬のお値段も比較的お高くなっております。けれどももし効果がなければ、私どもで賠償もさせていただきます。」そこでS子はまた大枚をはたいて最新の増量薬を買った。

=一週間後、セールスマンの青年は再度S子の家にやって来た。「あなたのところの増量薬って本当にとっても不思議だわ、私はもう以前の太っている体形に戻ったの、本当に科学技術は生活を変えるわ。それに、あなたが電話をしてきてくれてちょっと使用効果をきてくれるのでもう十分なのに、さらにあなた自ら来てもらって、あなたを煩わしてしまって、あなたのところのようにこんなに責任をもってくれる会社は、この世の中、本当にもうないわ。」「私どもの会社の製品がお客様のお悩みを解決できましたことはとても光栄なことでございます。私はあなた様が最近お仕事のプレッシャーがとても大変で、御髪がたくさん抜けてしまわれたと聞き及びまして、そこで、あなた様に私どもの最も新しく発明された遺伝子技術で作りました増毛のお品を……」

 

***心のすき間に入り込むイケメンスーツの押し売り、気をつけなきゃ。お金ないけど。

面白さ★★★☆☆

難しさ★☆☆☆☆

 

『十大最佳微小说精选,看完久久不能平静』 

『十大最優秀短編小説精選―読めば、あなたの感動は長く静まらない』

◆圓Δ宗

母が電話をかけて来て、父が山で放牧していて、うっかりつまずいて、腕を折ったと言った。一時間後、私は急いで病院へ行き、手術後まだ麻酔が利いた状態の父に会った。「お父さんは手術室に入る前、母さんに、お前には黙っとけって、お前に心配かけたくないって。でも母さんは我慢できなくて……もうすぐ、父さんの目が醒めたら、お前はちょっとはずしてくれるかい。出たら、いつもの電話をかけてね……。」私は頷くと同時に同じ病室の数人がひそひそと話しているのに気づいた;ほどなく、父が目を覚ましそうになったので私は急いで病室を出た。おおよそ十分後、私は父親の携帯に電話をかけた。「父さん、何してる?」私は泣き声を押し殺して聞いた。「ああ、……」父の声は少し緩慢だった。「お前のおじさんたちとトランプだ……」父はここまで言うと、声に気力が明らかに戻った。「負けた?勝った?」私は尋ねた。「ああ、負けたよ。お前、どうして私がついていないときに電話するんだ。」父は私とふざけて笑って、全く正常だと私に感じさせるように頑張っていた。「信じられないな」なぜだかわからないが、私は父に合わせ、子どもっぽくとことん問い詰めたが、私はそうしたことで、後悔もしていた。父は今、病室にいて、どうやって私に証明するんだ?「古さん、あんたの番だよ……」私は聞いて分かった。電話は、さっきの父の病室の病院仲間の声だった。父はちょっと話を止めると、すぐに高い声で私に言った。「もうお前とはなしていられない、急いでカードを出さなきゃ。ほらほらほら、スペードの3だ……」父は言いながら電話を切った。電話を切ったまさにその瞬間に、私は声をあげて泣いた、少しもはばからなかった。その日、私達はみんなうそをつきあった、でもその嘘で私は心底理解した、何が本当の愛なのか。

 

***そんなに泣かんでも…。腕折っただけだし…。ドライな日本人。

 

5月の授業: 27日(20日は休み)

次回は2015中国微型小 排行榜P.268-271『书匠』時間が余れば、十大最佳微小の《最大的耀》読みからです。

 

author:多摩中, category:講読編, 17:52
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2020.5.6Wednesday>>講読編,

202056日(水)講読【】出席8名(聴講4名)

钓鱼』 『魚釣り 陈 洪柳 

2015中国微型小 排行榜P.263-264)

副市長の一番の趣味は魚釣りだ。彼はいつも日々多くの重要な政務を処理していて、私的つきあいは極めて少ない。時には忙しい中でも暇を見つけて、私を伴って山の貯水池で釣りをする。市街地でも何か所か釣り堀はあるが、人が多く混んでいて、私たちは滅多に行かない。郊外にもたくさん釣り堀はあるが、釣り人が群れを成していて、非常ににぎやかで、その魚はみな買ってきて放し飼いされている。そういったところも何度かは行ったことがある。【成群结人:群れを成す】

=貯水池は静かで、いつも村の人が管理を請け負い、時間で雇われていた。だんだんに、管理人とは何も言わなくてもわかる間柄になった。山の地区は水質が良く、汚染されていないので、清炖鱼汤(魚だけで長時間煮こんだスープ。調味料は様々だそうです)にすると、味が極めてよい。【一来二去:だんだんに、おいおい 心照不宣:言わなくてもわかる

=私は副市長の運転手をしていて、彼の興味や趣味をよくわかっていたので、お世話する仕事の要領を得ていた。私達が釣りをする時は、身分はいつも隠していて、旧知の人に出くわすことは大変まれだ。副市長は奥深く静かな場所を好み、私は自ずからそれに従うように仕事をしていた。【鞍前马后:世話を焼く】

=魚釣りも屋外運動のひとつで、ストレスを緩和する。魚を満載して帰る回数はほとんどないと言ってよかったし、普通は何も収穫がなかったけれども、それでも副市長は好きなことなので疲れを知らず、興味は薄れることもなかった。休日で、公務がつきまとっていないのであれば、私は魚釣りに行くという指示を受けることになる。

=大金持ちの社長は不動産開発の商売をしていて、風見鶏のように情勢を読むのに長けていて、度々副市長を海釣りに招待したがっていた。行動は絶対に秘密で、社長の友だちの個人のヨットで海に出るし、乗っているのは舵取り人と従業員だけで関係ない人はいないということだった。得難い機会であり、ご厚意を辞退しにくかった。海の幸が待っている、海の魚は淡水魚より美味しい。更に心惹かれるのは釣りの環境だ。青い空、青い海、風は穏やかに陽もうらら、そよ風がふいて、飛ぶ鳥がお相手してくれる。【腰缠万贯:大金持ち 见风使舵 :情勢を見比べ風向きの良い方につく日和見

=約束の日の早朝、私は釣り道具を車の後ろのトランクに入れ、旅の準備に必要な支度や品々の一切も入れた。副市長は車に乗るといつもと同じように、目を閉じ静かにしていた。私は容易く港の入口に到着し、車を止めると、副市長に伴ってヨットに乗った。社長は腰をかがめ会釈をして出迎えた。海にはキグチ(フウセイ)、イトヨリがいる、ヨットの上には美しい魚がいる、どこから呼んできたかわからない若いモデルだ。三枚の布っきれのビキニをつけ、ナイスボディーでお目目パッチリ歯は真白な美人が勢揃い。深海地区では、ヨットは青く広々とした波間を漂い、海も空も青一色で、そこぶる壮観だ。モデルたちは間髪入れずに副市長と社長にお酌をする。美しい景色、美しい女たち、美味しい酒に料理、それらはさながら一つの美しい絵となっていた。

=副市長と社長が公務のことを話しているのがぼんやりと聞こえた。何かの工事の入札のことのようだ。社長は副市長に、海の絶景が見える家を、中も贅沢にしつらえ、鞄一つですぐ住めるようにそろえて贈ると言っていた。副市長はこの好意は受けなかったようで、言った。公開入札ですよ。公平な競争です、公平に評価します。権力は死んだ魚(死鱼ではありません。(はっきりと聞こえなかったが、後々考えたら、死鱼でなく私欲と言ってたはずだ)権力とは責任です。

=お昼には、社長はモデルにお供をさせて副市長に船室での昼休みをとらせようとしたが、副市長の婉曲な拒絶に見舞われた。仕事の話を終わらせた副市長は私を近くに呼び、単独でお供させて一緒にデッキで日光浴をした。朝早く海に出て、午後には港に戻った。海の魚はいくらも釣れなかったけれども存分に楽しんだ。ひとしきりお茶を濁した後、私達は型通りに社長に手を振り別れの挨拶をした。

=帰路、副市長はうかない顔で、何か考えているようだった。副市長は突然尋ねた:君、私がなんで釣りが好きかわかるかね?私は思わず答えてしまった:魚を召し上がるのがお好きだからでしょうか。副市長は首をふり、一言も返さなかった。私は、また知ったかぶりをして言った。:釣れた時の喜びとかでしょうか。副市長はやはり首をふり、黙った。私は頭が真っ白になって、どんな答えなら正解なのかわからなかった。副市長は再び尋ねた:私達はどうして魚を釣り上げることができるのかね?私は即座に答えた:副市長の腕前がおよろしいからですか。副市長は首をふると、厳しい顔になった。私はあわてて付け加えた。:秘訣がおありなのですね。最後に、副市長は意味深長に言った。:果てしない人の海で、私はただの一匹の魚にすぎんのだよ。

愁眉不展:悲しげな顔をする 若有所思:何か考えている様子 脱口而出口から出まかせを言う

 

**イミシンすぎる、副市長!「わしは釣られなかったぞ。死んだ魚にはならん。たまには釣る側になりたいのじゃ。」ってことかしら?虎視眈々と利用しようとする人々。汚職にならない、さじ加減が大事。ヨットで釣りしてお綺麗なお姉さまにお酌されたりは、セーフみたい。接待受ける時は気を付けましょう。受けたことないけど。

 

面白さ★★★☆☆

難しさ★★☆☆☆

 

『十大最佳微小说精选,看完久久不能平静』 

『十大最優秀短編小説精選―読めば、あなたの感動は長く静まらない』

 

=現代の生活リズムは絶え間なく急き立てられるものだ。多くの人は時間がないし、長い文章の内容を読みこむような辛抱強さも持ち合わせていない。長編小説は必ずしもすべての人には適してはいない。短編小説は簡潔な物語の筋によって、感動的な物語を分かりやすくはっきりと述べて、人を感動させる。以下の十大最優秀短編小説精選は、もしかすると、故郷に帰るあなたの、駆けずり回って苦労したこの一年の疲れをすっかり一掃してくれるかもしれません。【ある出版社が帰省中の人々に向けてネット配信や、無料で印刷して配った短編集だそうです。】

 

 我的晚年》《私の晩年》

一人の老人がいた。老人は全生涯の蓄えを使って、多くの値打ちのある骨董を収集していた。妻は既に他界し、三人の子供が遺ったが、成長した子供は皆国を出て、海外を己の生活圏としていた。子供は身近にいなかったが、幸いなことに一人の学生がいた。多くの人は口を揃えて言った。「あの若者をごらんよ、自分のやることをほったらかしにして、一日中じいさんにくっついて、まるで孝行息子のようだ。だが、誰にだってわかるよな、奴の目当てはじいさんの金さ。」老人の子供達もいつも外国から電話をよこして、父親に、用心して学生に騙されるなと、言いきかせた。「もちろんわかっておる!馬鹿にするな!」といつも老人は言った。とうとうある日、老人が亡くなり、弁護士が遺言を読み上げることとなり、三人の子供は外国から駆けつけて来て、あの学生もやって来た。遺言が読まれると、三人の子供はみな顔色を変えた。なんと老人は愚かにも大部分の収集品をすべてその学生に遺したのだった。老人の遺言にはこう書かれていた。:「あの学生さんが私の収集品を狙っていたのかもしれないことは私も分かっていた。けれども、私の寂しい晩年に、本当に私に寄り添ってくれたのは彼だった。たとえ私の子供達が私を愛してくれていたとしても、口で言うだけ、心にかけているだけで、手を貸してはくれなかった。本物の愛情も偽物の愛情になってしまった。反対に、たとえあの学生さんの私に対する情が偽物だったとしても、偽物でも私のことを何十年も助けてくれて、恨み言さえ言わなかった、これこそ本物だったということだ!」 **耳が痛いです…。

 

5月の授業:13日と27日(20日は休み)

次回は2015中国微型小 排行榜P.265-267『减肥』時間が余れば、十大最佳微小の∋(読み済、訳から)とのできるところまで。先生が『减肥』と十大最佳微小のの音声を送ってくださいました。いつもありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

author:多摩中, category:講読編, 14:23
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2020.4.29Wednesday>>講読編,

2020429日(水)講読【】出席8名(聴講4名)

2015中国微型小 排行榜P.259-262)

阴阳年』『あの世とこの世の年越し』 警 喻

 

=夜がまだ明けきらないうちに、父は私を掻い巻きから引っ張り出し、ストーブで温めた綿入れの上着とズボンを私に手渡すと、言った、さあ温かいだろ、早く着なさい。父親は毎日いつもこうしてくれた、朝早くオンドルから這い出して、かご一杯の麻の切り株を抱えもって、ストーブにいれて、私が着る服を温めてくれた。今日はいつもより少し早かったようだったのは、今日が陰暦1223日の小年旧暦の12月23日または24日で、かまど神を祭る節句)で、さらに重要なことには杀年猪を絞めての年越し)だからだ。【麻:麻・ゴマの切り株】

=私は綿入れの上着とズボンをちゃんと着た。父はオンドルの棚から麻の藁を取り出した。父が藁をつぎ足し、私がこすり合わせると、間もなく、三本の指程の太さの麻縄が上手により合わされた。これは杀年猪で豚の足と口を縛るために用いるということを私は知っていた。縄をより終えた父はまた薪の山にいって、一束の高粱の藁を折って戻ると、地面の上の素焼きの盥の中に入れ、それで豚の血をかき混ぜるよう用意した。それで豚の血が固まるのを防ぐのだ。豚の血を混ぜると、たくさんの血の筋が現れるので、網杓子ですくって、きれいな血にこして、蒸し煮した肉の酸菜(白菜のつけものと脂身の多い豚肉の鍋料理)に入れると、これで、ようやく杀猪菜(豚肉と野菜の煮込み)は味わいを持つ。その後、豚の血に蒸し煮した肉のスープを少し混ぜて、葱、山椒、塩を放ち、卵白を少し加える。こうして上手く処理できた豚の血を事前にきれいに洗った豚の腸のなかに流し込んで、鍋で煮て、つぶしたニンニクをちょっとつける、それで食べることができるのだ。【炕厨:オンドルの棚 线麻:細長い麻  :短い藁をつぎ足して長くする  :折る】

=私はもう5年の間豚肉と血の腸詰は食べていなかった、何故なら母がこの世を去ってから私と父は命がけで互いに支え合って暮らしてきて、私の家は豚を飼ってこなかったからだ。今年の春、父はトウモロコシが入った麻袋ひとつを隣の家の2頭の子豚と交換した。父は、今年の年越しに私達は豚を殺せるし、血の腸詰だって食べられるよ、と私に言った。そこで、私は毎日山の上に行って、山菜を獲って、戻ると、鍋でごった煮にして、ぬかを少し混ぜ、2頭の子豚は膨らむように大きくなった。【气吹:空気を吹く

=それで、私は年越しを待ちわびていた。父親は一切すべてをちゃんと準備をし、夜がすっかり明けた。父は豚小屋のそばに立って、小屋の中で等しく大きく立派に成長した豚を見ながら、嬉しいからか、手放すのが忍びないからなのかわからないが、涙が目の周りにしきりに溢れていた。私は父がもしかしたら母のことを思い出しているのかと思った。

=母が生きていた頃、父はいつも母と喧嘩をしていた。当時、私は7,8歳になったばかりで、私は父と母がなんで喧嘩をしているのか分からなかった。その後、村の人が背後で言っているのを私はかすかに聞いてしまった。かつて母の姉婿のおじが母を抱いてキスしているところを父に偶然見られてしまったという事だった。その時以来、私は母を恨み始め、その後母がこの世を去っても私は涙を一滴だって流さなかったほどだ。【以至:〜の結果となる。前述の内容から生じた結果を導く

=朝食を食べるとすぐに、屠殺人の父の弟、叔父が三・四人を連れて屠殺刀を下げて庭に入って来た。父親が豚小屋から一頭をかり出したとたん、みんなは寄ってたかって豚を倒して、豚と足と口を縛り上げ、担ぎ棒で持ち上げ、庭にとっくに用意できている八仙卓(正方形の卓/8人は座れる大きなもの)に早速持ち上げて、私は急いで家から血を受ける盥を持って来て豚の頭の下に置いた。叔父が箸を縛った豚の口の紐に差し入れ、ちょっとねじって、片方の手で箸を掴みながら、豚の頭をちょっと上へ引っ張り上げた。もう片方の手で刀を使って、豚の首のところから差し入れ、その後さっと刀を抜くと一筋の赤黒い鮮血が飛び散った……

=父が前もって鍋一杯のお湯を沸かしてあったので、みんなは豚をかまどに上げ、柄杓で豚の上にお湯をかけると、ほどなく、豚の毛をうまいことはぐことができた。瞬く間に叔父は豚をバラバラに解体した。かまどに大きな薪をくべて、鍋に改めて水を加えて、父は肉を選んで鍋に入れた。一服するあいだに部屋中肉の香りがいっぱいになった。【大卸八块:バラバラにする :薪を交差するようにくべる 一袋烟 工夫一服する間に】

=父は私に火をたかせ、手をちょっと洗って出ていった。ほどなく、隊長(村長)、会計、民兵中隊長と全隊の男たちを引き連れて父は戻って来た。豚を絞める時ひとにふるまうのは私達鈞沟屯の風習で、まして私の家は5,6年の間豚を絞めていないのだから、どうしても一回ちゃんとふるまわなければならなかった。父は皆を家に入れて、また二人の若者にテーブルとこしかけを借りに行かせ、まるでわたしが嫁を娶るように、その場はすごく盛大になってしまった。

=父は私の後ろで何回もぐるぐる歩き回って、まるで一大決心をしたように私を傍らに呼んで、長い間考え込んで、私に言った。お前のおじさんも呼んでこい。私はわかっていた、父がこの決心をするのにはとほうもない勇気がいっただろうことを。私は動けずにそこに立っていた。父はしばらく黙っていたが、行け、と言った。私がおじを連れて来た時には、料理はすでにテーブルに置かれ、酒もつがれていた、みんなはまさに、さあ飲もうと騒ぎ立てていた。私とおじが入口に現れたのを見るとさっと静まった。父は迎えて言った、来たな。おじはびくびくと応じていた。この時隊長が立ち上がって手招きした、さあ、さあ、こちらに座ってと。それでおじは隊長の横に座った。父は言った。皆さん飲んでください。みんなはこれでやっと表情がゆるんで、がやがやと酒を飲み始めた。ただおじだけがうんともすんとも言わないでただ黙々と酒を飲んでいた。

=酒がみんなに3巡ほどまわった頃、突然おじが腰かけから地面に転げ落ち倒れた。口の中のよだれが湧き出た。皆は急なことで唖然とした。隊長は急いで車屋に荷車を仕立てさせておじを人民公社の病院へと送った。車が村を出てすぐ、二キロも走っていないところで、おじの呼吸は止まった。大隊の病院の医者の証言によると、おじはは突発性の脳出血で死亡したそうだ。【酒过三巡,菜过五味:酒や料理を十分に楽しんだ後の状態のことを表す表現】

=隊長は言った。人は死んでも村には戻れない、村の入口に置くとしよう。おじの息子で私の従弟の满堂子は承知しなくて、どうしても私達の家に引いて来て、必ず家の中に埋めようとした。おじの死によって、满堂子はすっかりおかしくなってしまった。とうとう我が家の屋根にのぼって、大きな馬糞紙を屋根の上に置いたりして……

=隊長はあれこれと言ったが、おじさんの葬儀の費用を我が家が引き受け、お金は出さないで豚をその代わりにすることで承知した。满堂子はまさにあんなだから、我が家にわずかに残った一頭の豚を彼の家に追い返した。それでようやく村の入口に棺を置く小屋を組み立て、遺体をそこに置くことを許された。【:代える】

=ある夜、私はふいに母の夢を見た。私が母のことを夢に見たのはこれが初めてだった。母はお祝いの赤い衣装を着て、顔中喜びにあふれていて、忙しそうに戸に福の字を貼っていた。「妈妈と泣き叫ぶ自分の泣き声で私は目が醒めた。目が醒めた私の顔には涙が溢れていた。私は夢の中の状況を父に話した。父は私の頭をなでてため息をついて言った、夢はみんな現実とは反対のことだというけれど、あの世もこの世もみんな同じだよ、おまえのお母さんはあっちできっと忙しく年を越しているよ。

 

面白さ★★★☆☆

難しさ★★★☆☆

 

**文革当時の農村の冬の朝、父と息子。主に年越し準備のための豚の屠殺の様子、血のこし方、血の腸詰の作り方、宴会の様子 等なかなかに実体験ができない内容を詳細に描写しています。そこは★4つなんだけど、この親子の気持ちを考えると★3つ。閉鎖的な村で過ごすのはなかなか大変そう、あの世も同じなら忍の一字で生きてゆくってこと?ちょっと重い。お父さん、優しい人と再婚して幸せになって!!

 

次回5月6

钓鱼』(p263〜264が終わった残りの時間で十大最佳微小说精选】の 我的晚年撒谎』のできるところまで。以上3編の音声を陳先生より送って頂きました。先生にはここ2回のレッスンでは時間が延長となっても、質問に丁寧にお答えいただいております。またZoomになってから音声をお送りいただき、先生にはご負担をおかけしております。いつも熱心なご指導をいただき、誠に有難うございます。

 

 

author:多摩中, category:講読編, 17:53
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2020.4.22Wednesday>>講読編,

2020422日(水)講読【】出席8名(聴講4名)

2015中国微型小 排行榜P.255-258)

打工的人』『出稼ぎの人 青 霉素

 

=午後になって、柱子は嫁からの電話に出た。今日必ず帰ってくるわよね?と言われた。帰るよ、もちろん帰るさ!七日間の仕事が丁度終わったところで、親方が午後車で迎えに来ると言ってるんだ、と柱子は言った。わたし、あなたのために手延べ麺を作るから、食べてね。こう言った時、嫁の声は甘えた調子になった。【潮潮甜甜

=柱子の身体はちょっととろんとなって、今晩は嫁と約束した毎週一回のお楽しみの日だと思い出し、携帯電話に向かってにんまりした。柱子と村の仲間はこの山の上で、ある大金持ちの社長さんにおめでたい墓「喜墓」を建てていた。おめでたい墓「喜墓」とはまさに生きている人のために建てる墓地で、それは黒い石で築かれた小さな家になっていて、門が開いていて、入る人を待っているのだ。親方が言っているのを聞いたのだが、ここは風水的にすこぶる佳くて、誰だって幸運にもここに眠れば、その子孫は大金持ちの社長でなければ、高官となる。社長さんはこの一画を買うのに大金をはたいたというわけだ。

=じきに太陽が山に貼りつくように落ちてゆくと、やらなければならない仕事はおおかた終わり、みんなは今日家に帰るということは分かっていた。以前過ごした小さい小屋は解体されて、老三喜は柱子に親方へ電話して、いつ車で迎えにくるのか?とちょっと聞いてみろと言った。早く来れば、おれらは日が暮れる前に家に帰れる。仲間内では、柱子しか携帯電話を持っていなかった、柱子は親方に連絡する係となっていた。けれども、柱子はややもすれば親方に電話をしたくはなかった、一回の電話料金は何にもなるからだ。けれど柱子はそうは言えなかった。

=おらたち、しばらく待とうよ、休んみながらで、疲れないしさ、親方が気が短いってみんな分かっているだろ、しつこく聞くと、いつもがなりたてられるだろ、柱子は言った。みんなは座って休みながら、急いでついには仕事を終わらせた。服は、湿ったり乾いたりを、何回繰り返したか分からないほどで、今や一面汗びっしょりだ。地べたに座ると、全身疲れて何の力も残っていなかった。【酸得没有二两劲:疲れて何の力もなくなった】

=柱子おじ、親方に来てくれるはずだよねって聞いてくれる?おらたちのこと忘れるなよって!小もまた柱子に電話を催促した。は父親の代わりに働きに来ていた。小の父親は喘息を患っていて、ひと呼吸喘ぐごとにちょっと首を伸ばし、こらえて顔が真っ赤になった。夏休みになって家にいる小は僕が行くよと言ったが、小の父親は、お前、どれだけの仕事ができるんだ?みんなの足手まといになるよ、と言った。みんなは小の父親を見ながら哀れで、小を寄こせよ、俺たちの下働きをさせるからさ、と言って、それで小は来たのだ。

=柱子はまだ電話代を無駄使いしたくはなかったが、彼が申し訳ないと感じるだろうとみんなが注目していると分かっていたので、携帯電話を出して、番号を押すようなふりをして、繋がっていない携帯に向かって、大声で言った。仕事はみんな終わりました、早く車で迎えに来て下さい……もう少しですね、……、はい、わかりました。柱子の話がみんなに聞こえて、みな安心してしゃべり出した。親方はおらたちをこんな荒れ果てた山に連れてきておいて、まだ給料の算段ができてないわけじゃないよな?老三喜は言った。一日労賃50、七日で350、ばっちり揃った札を思えば疲れも吹っ飛ぶってもんだな!みんなは笑った。笑ってから、それぞれの心の中でたんまりもらったお金のこれからの使い道を計画していた。柱子は、草の根っこを噛みながら行ったり来たりしている小を見て言った、おい、いっちょ前になって、ここのところ、ご機嫌じゃないか?【爷儿们:ここは立派な人というニュアンス :一口のお金につかう量詞・ここは出稼ぎの人達にとっては多額であるということ】

=小はへへへと笑うと、草の根っこを噛み続けた。言うまでもないよな、こいつは本当によくがんばった!老三喜は言った、よ、やっぱり学校でペンを握っているほうが楽だろ、家に帰ったらしっかり勉強しろや、将来見込みがでれば、こんな馬鹿げた力仕事をしなくてよくなるさ。

=太陽が落ちてきて、山を風がひと吹きし寒気が襲ってきたが、親方のマイクロバスはまだ来ない、みんなは落ち着かなくなって、柱子は頭の中で嫁の手延べ麺が気にかかっていた、他の人から携帯をとりだすように急き立てられる前に親方に電話しようとした矢先、携帯の音が鳴った。🎵お母さん、座ってよ、オラの山のスイカの味をみてくださ〜い🎵、柱子の着信音は「朝日の谷」の一節を選んでいた。柱子がかがんで、見てみると嫁だ。嫁に吼えた:おまえ家をつぶす気か、どうしてまた電話する?無駄使いするなよ!親方がまだ来ないんだ、また後でな。言い終わると、嫁の返事を待たずにすぐ切った。頭を低くして、通話時間をみると一分かかっていなくて、ほっとした。

=太陽は完全に沈んで、闇が大きな網のようにゆっくりと一面を覆った。柱子は親方に電話をかけ始め、かなり長い時間をかけて、ようやくつながった。親方の話ぶりは酒に酔っていた:おまえたち、何の催促だ、お前らの為、社長に労賃の交渉をするために、おれは社長に飯をおごり、酒をのんだ、車は運転できない、だからおまえらは山の上で一晩集まっていろ、俺はあした朝早く迎えに行く。

=ガンッという音がして、老三喜はシャベルで激しく山の岩を叩いて言った。柱子、おれはお前に十元電話代をやる、お前の携帯で親方の野郎にひとこと言ってやるぜ!おらが電話代なんて気にするかよ? ほんとうだぜ、柱子は怒った。携帯はみんなにやるよ、言いたいことを言えばいい、話したいだけ話せばいい、一杯飲んだ親方をご機嫌にさせておくなんてできないよな。

=携帯はみんなの手にひととおり回ったが、ずっと親方の携帯は切れていて二度とつながらなかった。柱子はもう電話代は気にしていなかった、ただあの手打ち麺が糊になってしまうかもしれないことだけが心配だった。

=突然携帯の音が鳴った。柱子が見ると、嫁からだ。出ない、しばらくすると、また鳴った、また出ない。荒れ果てた山の上で一回また、一回と「朝日の谷」のメロディーがこだました。空が暗くなり、みんなは話すことを止め、ある者は黙々と煙草を吸い、ある者は山の岩に寄りかかって星を眺めていた。小も静かになって、ぐーぐーと鳴るお腹をさすりながら、大きな岩の上に立って、遠くの灯りを見ていた。柱子は嫁の電話をとると、こっそりと言った。今日仕事が終わったけど社長さんがおらたちに飯をおごってくれているんだ、酒や肉だよ。あした早くに帰るから安心して。

=冷たい夜風に熱い身体を吹きつけられて、小がたえられなくてひとつくしゃみをすると、うつったようにだれかも続いてくしゃみをした。老三喜はこの悩ましい静寂を打ち破りたくて、話し始めた。なんでも村東の李生のかみさんが悪い病気になって、薬を買う金もなく、ただキリストを信じ、毎日家で神にむかって祈っているらしい。トウモロコシ畑に肥料をやらなきゃなあ、まったくもって化学肥料がまた値上がりするのは勘弁してほしいな。ある者が話を続けたが、トンチンカンな返事だった。話し声がしたり、しなかったり、それはまるで遠くや近くで虫が鳴くようで、あることないこと、それぞれが心の中で自分の話に答えていた。

=夜が更けて雨が降りだすと、みんなは喜び感激した。神は本当に慈しみ深い、畑のトウモロコシが伸びるころだからまさに水がいるよな!雨がだんだん強くなって、服が濡れて身体にぴったりとはりついて、冷えて震え出した。この荒れ果てた山で雨をよける場所を探すのは至難の業だ。小はあの見事に建った空の墓に向かって走って行った、みんなちょっと躊躇ったがやはり行った。そこだけが雨を凌げる。

=おれら、ここでぎゅう詰めで一晩寝たら、社長さんの風水の気を先にいただいちゃうんじゃないか?真っ暗闇の中老三喜が言った。うまいこと気を頂戴したら、おらたちの子や孫だってお役人さんや金持ちの社長さんになるってもんさ。柱子は調子づいて言った。だれかが笑ったが、すぐに物音はしなくなり、ただ墓の門の外で雨がしとしとと降る音だけが聞こえていた。そして、みんなは眠りに落ちた。人の墓の中で寝ながら自分の夢をふくらませていた……   (完)

 

**出稼ぎの農村の人達、働き者で、仲間への思いやりがあって…。その善良さ、温かさが胸に残ります。疲れの中で話をしたり、途切れたり、汗や雨に濡れながら身をよせて過ごす様子の描写、登場人物それぞれのキャラの描き方も見事だと思います。どの国でもこうした善良さにつけこむような為政者のいないことを祈ります。

 

面白さ★★★★★

難しさ★★★☆☆

 

次回429日『阴阳年』(p259262

先生がメールで音声をばらの香りとともに送ってくださいました。谢谢您。

 

 

 

 

author:多摩中, category:講読編, 13:31
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2020.4.15Wednesday>>講読編,

2020415日(水)講読【】出席8名(聴講4名)

2015中国微型小 排行榜P.252-254)

 

你到底想要什么』『あなたが本当にしたかったことは何? 黄 殷夫

 

陆浩の青春時代は、ちょうど文学ブームが全国を席巻していた。作家の頭上の栄光はあたかも天空のあの太陽のようで、キラキラと輝き、遥か遠くまで光をなげかけていた。作家は何千何万にものぼる青年の心のアイドルとなっていた。このように言おう、あの年代の作家は現代の芸能界のスターと比べてもいささかも遜色がなかった。【正值〜:ちょうど〜の時にあたる 恰似〜:あたかも〜のように】

陆浩の父親は文字が読めない、陆浩の母親も字が読めない、陆浩の祖父母もまた字が読めない。つまり、陆浩の祖先はずっと代々何の教養も伝えてこなかったということだ。けれども、陆浩はこの時代に、この作家に対して皆がひれ伏す時代に、巡り合った。陆浩は小さいころから祖父母や村の老人の話す物語を聞くのが好きだった。学校へ上がっても、本を読むことが好きだし、また国語の授業が好きだった。中学の時、国語の先生が「私の理想」という題の作文を出すと、陆浩は自分は作家になりたいという理想をはっきりと書いた。【:出くわす、間に合う 顶礼膜拜:ひれ伏す 毫不含糊地:少しのあいまいさがなく

陆浩は作家になりたかったし、しかも一途に努力した。一つ努力しては一つ成果をあげて、陆浩は学校でちょっとした評判の小作家になった。学校が作っていた学校新聞や、壁新聞の文芸欄には、いつも陆浩の作文が載っていた。その後、陆浩は大学試験に合格して、さらに願い通りに、中国文学科に入った。陆浩は一歩一歩と作家の行列に向かって大股でつき進み、輝かしい理想に向かって、明るい前途に大きな歩みで前進した。卒業後、陆浩は役所仕事に配置され、その後市の作家協会に加入し、さらにその後、省の作家協会にも加入した。ついに陆浩は自分の理想を実現させて、一人の作家と成った。【如愿以偿:願通りに希望を達成する】

陆浩が正に非常に意気込んで遠大な計画を大いに行おうとした矢先、文学界に強く冷たい空気が吹きこんだ。それから経済ブーム、スターブームが何千何万の人の心の高みを占領し、作家の頭上の栄光は瞬時に風に吹かれ雨に打たれ失われてしまった。雄心勃勃地:非常に意気込んで】

=幸いにも、陆浩は今や組織幹部となり、その着実な文学の基本的素地はその才能を発揮するところがないわけはなかった。その証拠に、部門リーダーは陆浩の才気を気に入って、彼を事務室で秘書の仕事に従事するように配置した。陆浩は少し自分の力をもてあますような感じがしたが、文学に通じていることはもはや動かぬことであるのだから、組織で少しばかりの官職を求めることがようやく得られる道理というものだ。このように思って、陆浩は赴任後すぐ、自分の努力奮闘する目標を調整した。【好在:幸いにも 用武之地:才能を発揮するチャンス・場 从事:携わる 大材小用:才能がある人をつまらないことに使う・役不足 大势已去:大勢が決まってもはや挽回できない 一〜半〜:少しばかりの〜

陆浩は真面目にリーダーが交付する各種の文書を作成し、さらに現場に入って取材して記事を書いた。すぐに、陆浩芜城の上から下までが公認する「筆の立つ人」となった。陆浩は名声を得て、彼に文書を書いてもらおうとする人が自ずと多くなった。陆浩はひとつひとつ応じて手助けすることはできなかったが、芜城のあの高いところのリーダーが彼に文書を書かせることについては、絶対に拒絶できなかった。彼らはいつも、陆浩を事務室に来させ、要求も難度も高い文書を彼に書かせた。陆浩は、このような人たちは彼の政治における前途を決定する人であり、断じて機嫌をそこなうことはできないのだということを分かっていた。陆浩は昼も夜もなく、徹夜して朝まで机に向かって一生懸命やり、やはり内心では、リーダーが自分を重んじてくれてしきりに感激してくれればと思っていた。陆浩はこうして苦しい中にも楽しみがあり、苦しい中にも希望のある日々を過ごした。文学は陆浩から段々遠のいてしまった。【深入基层:現場に入る 得罪:(人)の感情を害する 伏案苦干:机に向かって一生懸命にやる】

陆浩はたまに少しの散文や詩歌といった文学作品を書くことができたが、彼の作品の質は以前ほどよくないし、幸にも芜城には本当に文学がわかる人は多くはないということを彼自身わかっていた。けれども、陆浩が取材して書いた記事は一篇一篇と続けて、大小の党機関の刊行物に出現し、陆浩が書いた文書は一回また一回と各リーダーの表彰を受けた。

=努力は裏切らない。陆浩の役人としての前途は順風満帆で、課員から副科長までさらに正科長になった。今回、の改選にともなって、陆浩は中国人民政治協商会議の副主席の地位まで一気に上りつめるはずだ。その中国人民政治協商会議副主席は正に副所長級の指導幹部だ!【换届:改選する】

陆浩は自分の奮闘してきた歩みを回想するといつも、自分のあのときの選択は果断で、賢明だったし誇りに思った、けれども同時に心の中には一縷の無念さが根をはっていた。この年代、文学はとっくに斜陽の憂き目にあっていて、平凡な大衆の欲望のふちに丸く縮こまっていた、けれども文学はアヘンのように既に深々と陆浩の精神の神髄に着床していた。陆浩はただ役人としての進路に疲れ、気にかける暇もないだけだった。【无暇:〜する暇がない 顾及:〜を気にかける 而已:〜だけ】

=不足の事態は起こるものだ。陆浩の政治の前途がまさに太陽のように中空の真上に上った時、たまたま健康診断で、なんとガンの末期だと検査結果がでた。

天有不测风云:天には不測の風雲が起こる。すべての物事には不測の事態があるものだ。】

=臨終に及んで、陆浩は、はっきりしない言葉で言った。:「わたしはやりたかったなあ、わたしはやりたかった…」子供達が言った:「お父さん、何がやりたいって?私達が早く独り立ちしてほしいの?安心して、私達大丈夫だから。」陆浩は首を振ると言い続けた。:「わたしはやりたかったなあ、わたしがやりたかったのは…」友だちは言った。:「何がしたいんだ?中国人民政治協商会議副主席就任の知らせか?もうすぐだ、もうすぐだぞ、がんばれよ。」

陆浩はなおも首を振ると言い続けた。「わたしはやりたかったなあ。わたしがやりたかったのは…」妻は耳を陆浩の口にぴったり近づけ、大声で言った。「あなた、いったい何がやりたかったの?」陆浩は苦しそうに言葉を吐き出した。陆浩は言った。「わたしはやりたかった、わたしがやりたかったのは、長編小説を書きたかった。」陆浩の最後のこの言葉で、その場にいた身内の者や友人は長い間、息をのんだままだった。

 

面白さ★★★☆☆

難しさ★★☆☆☆

それぞれの小さかったころの夢を聞きながら、お別れしました。コロナで閉じこめられている毎日ですが、講読の授業があるので、違う世界へ旅できます。次回の録音を先生がメール配信してくださいました。多谢,

  

次回4月22日 『打工的人』(p255〜258

 

 

author:多摩中, category:講読編, 09:30
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